シャコンヌ雑感

 最近注目しているバッハ演奏家に「オランダバッハ協会」( Netherlands Bach Society)の音楽監督の佐藤俊介さんがいます。きっかけはユーチューブをつらつらあさっていたら向こうから飛び込んできたのだが、この人のブランデンブルク協奏曲とかコーヒーカンタータとか最高!
 と思っていたら最近(7/6)NHKのBS朝番組で佐藤さんが「シャコンヌ」を弾いていた。そこでインタビューもしていたのだが彼が力説するには

 「これはあくまでも舞曲である、それが出発点」

 

この意見に激しく同意です。

 

 元々これはパルティータの一曲なのだから舞曲であるのは当然。テンポもフレージングもそこが出発点と考えていたからこそ私もストコフスキーや斎藤秀雄に違和感を感じて(吹奏楽版なんかでもそうだがやたらに重くて暗い)自分で編曲しようと思ったくらいで昔からそう信じていたのだが、名の通った演奏家にTVで言ってもらって思わずガッツポーズものでした。

 

 そもそも斎藤版のシャコンヌなんて、ブゾーニの編曲を学校の教育に使うためにオーケストラに割り振っただけのものなので「斎藤秀雄編曲」とクレジットするのはおかしいと思う。せめて「ブゾーニ編曲・斎藤秀雄オーケストレーション」とするべき。

 不肖私も斎藤先生の孫弟子ということになるので言いづらい、でも今はなんの組織にも関係無いので言ってしまうと、世間ではこの編曲は持ち上げられすぎ、あくまでも教育用のテキストとして身内で使う分には良いとは思うのだが。

 かくいう私も実は斎藤版のシャコンヌを某市民オケで振ったことがある。なので自分では違和感を感じ、納得できないまま本番だったのでその時のメンバー、執行部、お客さんには申し訳ないと思っています。

 

 もう一つ、ある時小澤先生がこの曲(もちろん斎藤版)を振っている映像がユーチューブですぐ出てくるけど、なんと第2部の長調場面が終わったところでめでたく盛り上がって終わりにしていた。

 「ひょっとして小澤さんてバッハがわかっていない人なのか?」と思ってしまうのは私だけ?

 

 もちろん、今の音楽業界で指揮者のうちにも入れてもらえないような私と(とは言っても18年間仕事としてピットで振ってきたのですが)と日本音楽界の頂点である小澤先生なので、なにも説得力はないけど、あそこで終わるのを見た瞬間たまげたのは事実です。

 

 世間で一定の評価を保っている斎藤先生の編曲と、未だに現実の音になったことのない私の編曲を考えると全てが「負け犬の遠吠え」になっていることは認めます。

 

 でも一度でも現実の音として世間に聴こえることがあれば絶対に「お前の方がワシの考えに近い」とバッハ先生に言ってもらえ、多くの人にも気に入ってもらえる自信はあります。