バッハ BWV539 前奏曲とフーガ 聴き比べ


(この記事はホームページ内で解説として書いたものですが、内容を考えブログに移動したものです)

(フーガ3兄弟の話)

ご存知のようにこの曲のフーガ部分は「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番BWV1001」と同じ曲です。

 たぶんバイオリン版が先で(1720頃?)そのあとに編曲されたらしい。

 しかもリュート版というのも存在する。(BWV1000)

まずはバイオリン版(BWV1001)から、

演奏は私が最近注目している(オランダバッハ協会音楽監督の)佐藤俊介さん

そしてオルガン版(BWV539) 。調性はバイオリン版より4度下げてニ短調。

比べるとオルガン版は低音声部など補っているのはもちろんだが、寸法も2小節多い。

(バイオリン版の小節でいうと5小節目と6小節目の間、28と29の間にそれぞれ1小節増えている。)どちらもその小節を利用してバス(ペダル)声部に主題が挿入されている。

 また最後の和音が短調から長調になっている。

他にも音型など色々変えてあり、比べるととても勉強になる。それについての詳しい話は次の機会として、

 

さて、リュート版を聴いてみよう。

出だし部分しばらくをちょっと変えているので印象は「おやっ!」と思うが、それ以降の部分はバイオリン版に割と忠実で、低音声部の入り方などオルガン版を知っている人にはこんなものかという感じ。

 この版はリュート奏者ヴァイラウフ(Johann Christian Weyrauch)によるタブ譜しか残されていないので、彼による編曲ではないかという説もあるらしいが、出だしの大胆な改変を考えるとバッハ自身の編曲、またはバッハがアイデアを出したorバッハと相談して書いたと考えるのが妥当なようだ。

 

ちなみに現在ではリュートで演奏されるよりはギターによる演奏が多いのだが、微妙にギター向けに編曲するので何種類か版があるらしい。

 

他人の編曲といえばこんなのもあり。
20世紀のバッハ第一人者レオンハルト先生によるチェンバロ版

これはこれで大変素敵なものだと思う。さすがレオンハルト。

 

さて、いかがでしょうか。 

もう少し私なりの突っ込んだ曲目解説をしようかと思ったけれども、今日はいろいろなバージョン聴き比べ大会で終わってしまった。すみません。でも面白いでしょう?


というわけで、フルートオーケストラ版、弦楽合奏版、木管五重奏版を作りました。

内容は全てオルガン版(BWV539)を調性を4度上げオーケストレーション(楽器割り振りしたもの)です。