今、私は、某市民オケと一緒に、モーツァルトの40番交響曲の第1楽章に取り組んでいる。
この曲の特徴というか、癖を探ってみたい。まずは冒頭のメロディーから
音が二度、しかも半音の幅で行ったり来たりした後、いきなり六度上昇してあとはひらひら降りていく。これを繰り返すのだが、2回目は二度下で現れるのがミソなのです。
そう、この楽章のポイントは
「二度下がる」なのです。
これは28小節目からだが、30→31→32→33 と 二度ずつだんだん下がっている。
展開部の頭。103→107→111と二度ずつ下がっている。転調もあり、ふわふわとテンションが下がってゆくような、でもやっぱり緊張感が高まっているかもみたいなな不思議な感じがする。
展開部、次の部分。ビオラ・チェロ・バスとバイオリンの掛け合いなので音域が飛んでいたりして分かりづらいが、114→118→122→126と見事に二度ずつ下がっている。但し音楽的には下がっていくというよりは盛り上がっていく。
上に続く部分。一番盛り上がる(テンションが上がる)場面だが、バイオリンのメロディーは129→131→133都、やはり二度ずつの下降である。
これは例外。139→141→143→145と音型は上昇している。音量はともかくテンションはどんどん高まっている場面。
そのかわり、それに続く部分では今度はバイオリンの音型が三度ずつ(!)下がっている。このようにして音楽が収まると思わせておいて、次の153小節で音楽が爆発するわけだ。
展開部ラスト。一同じわじわと音が下がってゆき、収まったところで再現部となる。
再現部にも二度ずつ下降は出てくるが、193から及び213からは、譜例2の再現なので譜例は省略します。
このようにに皆で上行する音型が出てくると、激しくテンション高まったりする。もちろんハーモニーもそういう風になっているのだけれど。
以上見てきたように、要所要所で二度音程で音型が下がってゆく、しかもテンションを下げる場面よりもむしろ上げる場面でうまく使っているというのが、この楽章の面白いというか、不思議なところだと思います。やはりモーツァルトは天才を通り越して魔術師だ!